木村邸 訪問

 木村氏との交流が始まって、もう15年前後になる。

15年前の拙宅のメイン・スピーカーはJBL-4350Aであったが、木村氏がどういう経緯で拙宅に来られたのかは、今となっては思い出せないが、確かWilson-Audioユーザーのメンバー繋がりで訪問されたように思う。

 

 当時、小生もWilson-audioのスピーカーのポテンシャルの高さには注目をしていた頃で、試聴会でしか聴いたことがなかったことから、拙宅から車で5分程度のところにお住いの木村氏がWilson-audioのスピーカーのユーザーであることが判明し、是非一般のリスニング・ルームで聴いてみたいとの思いから、早速に木村邸を訪問をさせて頂いたのが相互交流の始まりであった。


 木村邸を訪問させてもらうと、12畳前後の部屋に黄色いボディーカラーWilson-AudioSystem7が鎮座していた。

 H200210木村邸 015s

 

 当時のWilson-audioSystem7は、ハイエンド・スピーカーの代表格ともいえるモデルで、大いなる期待をもって訪問させていただいた。

しかし試聴会で注目していたものの、リスニングルームなどの設置環境もあるのか、期待に反して真価を発揮していなかった記憶がある。

 

 その後、木村氏はTHIELのスピーカーも導入をされ、能率も低く故障も多かった様に聞いていたが、いつのまにかKiso-AcousticHB-1を導入されたが満足できず、しばらくしてからHB-X1にバージョンアップされた。

 

 小生の様に30年以上も大型のスピーカー・システムのユーザーからすれば、Kiso-Acousticの小型スピーカーが、今まででは考えられない価格設定で注目を集めていることを忸怩たる思いで眺めていたのであるが、ここは一度、聴いてみないと真価が分からないということで、訪問して聴かせていただいた。

 Kiso-AcousticHB-X1は、JBLのモニタースピーカーの力で押してくるサウンドではなく、比較的小音量で空間に音像が浮かびあがるような次元の音場を楽しむコンセプトのスピーカーであるといえる。

 

 永年、大型システムで量感豊かに聴いてきた小生のスタンスでは、なかなかその良さを共有することが出来なかったが、JBL-4350Aの様な大きなバッフルを持ったスピーカーでは聴くことが出来ない次元のサウンドを聴くことができた。

拙宅でもストーン・スピーカーを開発してから、JBL-4350A時代では聴くことが出来なかった空間表現も聴けるようになり、センターに浮かびあがるボーカルや小音量でも空気感を感じられるサウンドの世界にも浸れるようにもなってから、Kiso-Acousticの目指すサウンドの世界にも共感を出来るようになったといえる。

 

 木村氏のスピーカー変遷の中で、やはりHB-X1でも低音域の量感不足やスピード感に不満を感じられたのか、3年程前の2018年にはHB-X1の3倍もの価格のHB-G1を導入されたのである。

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 今から3年前に関東方面へのオーディオ遠征前に木村邸を訪問する機会があり、ちょうど遠征先で聴かせもらうために準備をしていた比較的低音の量感やスピード感が要求される音源をCD化して持ち込んで聴かせて頂いた。

 Kiso-AcousticHB-G1HB-X1のツィーターをベリリウム・ツィーターにした2Wayスピーカーの下に鉄板と防止ゴム系のサンドイッチ素材で構成されたウーファーのエンクロージャーに10cm口径のユニットを4パラレル構成のウーファーで、幅は15cm程度、高さ98cmとスリムでコンパクトなスピーカーであるが、HB-X1では難しい激しいドラム系のアルバムでもスピード感をもって再生されるポテンシャルには、正直驚いた記憶がある。

 だだ、関東の遠征先で聴かせていただく重低音狙いの音源については、流石にこのサイズでは聴くことは難しい。

 

 あれから早くも3年が経過した先月に、久々のお誘いがあったこともあって木村邸を訪問させていただいた。

最近、小生も今まで聞いたこともなかった「オーディオ・ロマネスク 」にオーダーされた機材が所狭しと置かれていたのである。

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 前回訪問時まではデジタルアンプによるドライブ環境であったが、3年ぶりに聴かせてもらったHB-G1は、DAC以降は全て「オーディオ・ロマネスク」の機材で、定位良くセンターに浮かび上がるボーカールの魅力に加え、小生の訪問に向けて選曲されたビッグバンドのドラムもビシッと決まるスピード感のある低音が両立していた。


 訪問時には、パワーアンプ用の40kgもある強化電源はケーブルを発注中で未接続であったが、強化電源でドライブされたパワーアンプによって激変したとのことで、1週間後に再度の訪問要請を受けて聴かせていただいたところ予想以上の激変で、改めてパワーアンプの電源強化の効果もさることながらとてもコンパクトなHB-X1からの再生音とは思えないようなサウンドであった。


 大型のハイエンド・スピーカーでも充分に表現できない「Helge Lien」の「Spiral Circle」のTake Fiveを鳴らし切ったのには正直驚かされた。このアルバムは低音のスピードとトランジェントが両立していないと、この演奏の真価を味わえないからだ。

 SPIRAL CIRCLE

 

 小生とは、まさにコンセプトと流儀が違うとも言えるオーディオ・ファイルと思っていたが、最近、結局目指している方向は同じなのではないだろうかと思うようになってきた。

互いのシステムの更新のタイミング毎ごとに交流を重ねてきた間柄なのであるが、交流が深まって個人的な状況まで分かってくると、木村氏はとんでもない歴史の大家で、特に幕末から明治維新における「坂本龍馬」を中心とした歴史研究では、第一人者ともいえる人物で、いくつもの著書も出版されて講演依頼も多く、NHKの大河ドラマで「龍馬伝」や「西郷どん」が放送されたときは、彼の稼ぎ時で、有名な歌舞伎役者の橋之助と京都の歴史探訪のテレビ番組に2日間に渡って出演されるなど、小生など歴史では足元にも及ばない恐れ多い大先生なのであるが、ことオーディオ・ファイルのメンバーとしては、実に気さくに交流してもらっている。

ただオフ会の中では、歴史の話はこっから先も交わした記憶がない。

 たぶん、講演やテレビの出演料のほとんどが、オーディオの物量投入に費やされているに違いないと睨んでいる。

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 木村氏のソース音源機器は、氏のこだわりから一貫してDVD-Audioプレーヤーなので、試聴用音源を持ち込むのに、NASからCD化して持ち込んでおり、そろそろデジタル音源を直接アクセスできる環境も用意してほしいと思っている。


 現在メインスピーカーであるKiso-AcousticHB-G1の後釜には、「オーディオ・ロマネスク」のスピーカーの導入が決まっているようで、果たして木村氏がどこまで追い込めるのか多いに楽しみにしているところである。 
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ありがとうございました。

まつさん、こんばんは!

1枚目の写真は、まつさんにDEQXを持ち込んでいただいて測定をしてもらった時の写真ですね。 

とても懐かしく思いました。

まつさんが初めて我が家に来られた時は、私がハイエンドオーディオから解脱した直後で、主にスタジオ機器を使っていた頃でした。

過渡期で1番もがいていた時ですが、高音質盤は凄い音で鳴るのに、まつさんの持ち込みディスクでは破綻しまくって悲惨だった記憶があります。笑

今年の2月に、オーディオロマネスクのプリアンプとアムクロンのスタジオリファレンス1を組み合わせ、「もう上がり」と思ったのですが、それから半年でほとんどがオーディオロマネスクの機器になりました。

またオーディオロマネスクのスピーカーやPCトランスポートが揃いましたら、聴きに来てください。

よろしくお願いします。

No title

 木村さん コメントありがとうございます。
 長い交流の中で、ようやくブログで紹介することができたことを嬉しく思っています。

 知り合ってから今日まで休むことなく、手を変え品を変えて取り組んで来られたオーディオへの熱意の高さを感じる一方で、気がついたら小生が及びもつかない、とんでもない方向に進んでおられるので、小生とは流儀が違う面も感じてきました。

 しかし、ブログにも書いたように、最近になってオーディオを通して求めているサウンドは同じ方向であることに気付かされたように感じています。

 今後も続くオーディオ・ロマネスクの展開も興味津々ですが、求められているオーディオのサウンドも、小生とより近い次元になるのではないかと思っています。

 新しい機材を導入されて、しばらく格闘されるでしょうが、再びお呼びがかかる日を楽しみにしています。

No title

年内にギリギリ再来訪をお願いするかもしれない予定です。

あと、まつさんに聴いていただく時は、なぜか決まってTOSHIBAのDVD-audioプレイヤーを改造したものですが、長らく我が家のメイン送り出しはdCSのフルセットです。

dCSのフルセットもかなり良い音ですので、またこちらも聴いていただこうと思っています。

よろしくお願いします。

待ってます

年内にもお呼びがかかりそうですか!
来年になってもいいので、焦らずにじっくり追い込んでくださいね。
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Author:京都のまつ
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