バッフル板のリニューアル その2

 バッフル板をリニューアルしたタイミングを捉え、以前からの懸案であったユニットへの配線仕様の変更とウーファー内のシンサレート(消音材)の量を減量することにした。

 具体的には、ユニットへの配線に使うファストン端子の交換と結線方法を変更した。
 今まではユニットへの接続に使うファストン端子やスピーカー端子のラグにオーディオ用ハンダでハンダ付けしていたが、これを全てハンダレスの圧着接続に変更した。


ファストン端子


スピーカー端子

 この変更は佐伯多門氏が来られた際に「スピーカー内部の配線にハンダ付けは良くない」との話をされていたので、この機会に変更することにしたのである。
 その根拠は、ハンダが一種の異種金属間で半導体のような作用をすることが良くないかもしれないと思っている。

 ウーファー内のシンサレートについては、200Hz以下ではほぼ消音効果が期待出来ないことと、石板には共振防止に鉛板を貼っていることに加え、石板をボルトで締め付けていることで予想以上に共振が抑えられている。
 そんなことからエンクロージャーの容積を稼ぐ意味でもポート近くに入れていたシンサレートを撤去した。


ストーン・ウーファ1


ストーン・ウーファ2

 付帯音が極めて少ないストーン・スピーカーにしてから、わずかな仕様変更で音の変化を感じることが多くなった。

 JBL-4350Aがメインであった頃は、アクセサリー類などでサウンドが大きく変わることはあまりなかったが、ストーン・スピーカーになってから、今まででは考えられないことで音が変化することが多くなった。

 2年前、スピーカーに接続しているバナナプラグが振動で緩むので、ネジで強固に締めつけるタイプのバナナプラグにスピーカー側のみ変えたところ、サウンドにかなりの違和感が出たことがあった。
 そこでアンプ側も含めすべて同じ仕様のバナナプラグに変えたところ違和感も収まったという経験がある。

 また数か月前も知り合いのブックシェルフタイプのスピーカーを点検のためにオーディオ・ルームに置いていたところ、かなりの違和感が出て原因がわからなかった。
 しかしストーン・スピーカーにした頃、オーディオ・ルームに同居している38cmウーファーが原因で音がまとまらなかったことを思い出し、過去の経験からスピーカーをオーディオルームから撤去するとサウンドの違和感がなくなり元へ戻るという経験をした。
 オーディオ・ルームに複数のスピーカーが同居しているケースは少なくないと思うが、鳴らしていないスピーカーもかなり共鳴しているので、相互干渉の影響は少なからず出ているものと思われる。

 拙宅はストーン・スピーカーになってから付帯音が極めて少ない環境になっているので、より変化を感じやすくなっているのだと思っている。
 10年前にはフロントにJBL-4350A、リアにTANNOY-オートグラフが同居をしていた時期もあったが、どちらのスピーカーも相当にエンクロージャーの付帯音が大きいスピーカーなので余り気にならなかったことを思い出すと隔世の感がある。

 この様な体験から、現在のサウンド・バランスは、極めて微妙なバランスの上に成立していると感じることがあるので、今回の様に大きな仕様変更では、オーディオ的に理にかなった改良をしているつもりであるが、実際に音出しをしてみないと必ずしも期待する結果になるとは断言できないのである。

 バッフル板のリニーアル後、配線の確認を兼ねて音出しを始めた。ユニットの位置は若干が変わっているのであるが、1cm程度なので無調整で音出しをしてみたところ、今までとあまり変化はないように感じられなかった。

 その後、改めてタイム・アライメントの計測をし、わずかに0.5cmツィーターのチャンデバのディレイタイムの変更であったにも関わらず印象が大きく変わり、センターがビシッと決まり、音像の骨格がしっかりしたよう感じられた。

 その後、様々なジャンルで試聴を重ねていく中で、ロック系の音源では大きくトランジェントが向上していることが確認できた。
 やはり、バッフル板の強度を上げたことが激しいサウンドのトランジェントの向上に大きく貢献していることが実感できた。

 数日間サウンドを評価する中でサウンドの骨格が以前よりしっかりした感じなので、ユニット毎の周波数特性を計測し、ウーファーとミッドレンジのクロスオーバーの見直しも試して見ることにした。

 バッフル板の変更前では、80Hzまでは下げると中低音の不足の印象で良くなかったが、今回はバランスも崩れずにトランジェントがより向上した印象なので、このバランスで暫く評価することにした。
 ウーファーのクロスオーバーを280Hzまで上げて、周波数特性のほぼ平均化したた設定も評価してみた。
 このバランスでもサウンド的には全く遜色がないのであるが、やはりクロスオーバーを100Hz前後に設定したバランスと比較すると、周波数特性では中低音に落ち込みがあるものの、より鮮度が高い印象になるので、より鮮度の高いクロスオーバーが100Hzの設定に落ち着いた。


STS-Ultimate_280Hz周波数特性


STS-Ultimate_80Hz周波数特性


 先日、「大阪ハイエンド・オーディオ・ショー2022」で聴いたMAJICO A5も付帯音の少ない共通した傾向のサウンドを感じた。

 バッフル板をリニューアルしてから試聴を繰り返した結果、明らかに以前のSTS-Ultimateのサウンドを凌駕していることが明確になってきた。

STS-Ultimate_R.jpg


STS-Ultimate_L.jpg


STS-Ultimate_.jpg


 ついては、バッフル板リニューアル後のモデルをリニューアル前モデルと区分するために「STS-Ultimate+」とに呼称変更することにした。

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